教科「理科」は、物理学・化学・生物学・地学など、数学以外の自然科学の内容をまとめたものである。小学校・中学校では理科という単一の教科名ですべての児童・生徒が履修する。高等学校では、いくつか用意されている科目の中から、学校の教育方針や生徒の進路に応じて数科目を選択し履修する。そのため高等学校で「理科」という語は理系進学者のための基礎教養課程を指すこともある。
理科は実験・観察を伴う課題が多いため通常、小学校の段階から理科室と呼ばれる専用の教室を設け、理科の授業はここで行うことが多い。高等学校ではさらに物理・化学・生物・地学の科目ごとに専用の教室や実験準備室が設けられる。
学習内容[編集]
初等教育(小学校など)[編集]
- 第3学年
生物とその環境(生物的分野) 昆虫の成長や体のつくり、植物の成長や体のつくり、昆虫と植物のかかわり 物質とエネルギー(物理的分野)、(化学的分野) 光の性質(日光、鏡)、電気回路(乾電池、豆電球)、磁石の性質 地球と宇宙(地学的分野) 太陽の動き(日なたと日陰)
- 第4学年
生物とその環境(生物的分野) 動物の活動、植物の成長 物質とエネルギー(物理的分野)、(化学的分野) 空気及び水の性質(圧力)、金属、水及び空気の性質(体積、温度)、電気の働き(モーター、光電池) 地球と宇宙(地学的分野) 月や星の特徴や動き、天気による気温の変化、水の状態変化(水蒸気、氷)
- 第5学年
生物とその環境(生物的分野) 植物の発芽、成長、結実及びその条件、魚や人の発生と成長 物質とエネルギー(物理的分野)、(化学的分野) 物の溶け方、てこ、おもりの動き 地球と宇宙(地学的分野) 天気の変化、流れる水の働きと土地の変化(川、台風)
- 第6学年
生物とその環境(生物的分野) 人や動物の体、動物や植物と養分、生物と環境とのかかわり 物質とエネルギー(物理的分野)、(化学的分野) 水溶液の性質や働き、燃焼、電流の働き(電磁石) 地球と宇宙(地学的分野) 月と太陽、土地のつくりと変化(地層、化石、火山、地震)
前期中等教育(中学校、中等教育学校の前期課程など)[編集]
教科書の体系も、従前は、第1分野上・下および第2分野上・下の4分冊による教科書構成(両分野上巻が1年次、両分野下巻が2年次にそれぞれ配布)であったものが、2012年以降は、国語・数学・外国語(英語)の教科書同様、学年別の形態に改められることになった。
- 第1分野(物理・化学系列)
身近な物理現象 光と音(光の反射や屈折、凸レンズ、音)、力と圧力(力の働き、力のつり合い、圧力、大気圧) 身の回りの物質 物質のすがた(物質の性質、状態変化、気体の性質、気体の発生)、水溶液(溶解、再結晶、水溶液の性質、酸とアルカリ) 電流とその利用 電流(静電気、電流、回路、電圧、電気抵抗)、電流の利用(電磁石と電磁誘導、電流の働き) 化学変化と原子・分子 物質の成り立ち(物質の分解、原子、分子、原子記号)、化学変化と物質の質量(化合物、化学式、化学反応式、質量保存の法則) 運動の規則性 運動の規則性(物体の運動、エネルギー、エネルギー保存の法則) 物質と化学反応の利用 物質と化学反応の利用(酸化と還元、化学エネルギー) 科学技術と人間 エネルギー資源、科学技術と人間
- 第2分野(生物・地学系列)
植物の生活と種類 生物の観察、生物の体のつくりと働き(花、茎、根、葉、光合成、呼吸と蒸散)、植物の仲間(種子植物) 大地の変化 地層と過去の様子、火山と地震(噴火、火山岩と深成岩、地震の揺れ、地震の発生) 動物の生活と種類 動物の体のつくりと働き(動物の観察、感覚器官、消化や呼吸、血液の循環)、動物の仲間(脊椎動物) 天気とその変化 気象観測、天気の変化(雲、霧、気圧配置、前線) 生物の細胞と生殖 生物と細胞(細胞分裂)、生物の殖え方(有性生殖、無性生殖、遺伝) 地球と宇宙 天体の動きと地球の自転・公転(天体の日周運動、星座)、太陽系と惑星(太陽、恒星、惑星) 自然と人間 自然と環境(微生物)、自然と人間(自然災害)